日本企業に関係する商船の乗っ取り被害の実態が一部明らかになりました。
2007年秋から約1年での海賊被害は6件で、そのうち1件の当事者が、
社名や日時、身代金額などを伏せることを条件に、
報告書や実際の交渉を基に詳細を明らかにしたのです。
日本の海運会社が用意した身代金は米ドルの現金です。
これを、どのような方法で相手に手渡したかというと、
北アフリカの都市で、人々が行き交う昼間の雑踏を利用して、行われたのです。
この貨物船は、東南アジアから欧州へ向かう途中、ソマリア沖で海賊に襲われ、
救難信号を受信した北欧の救難部隊から、会社に連絡があったのです。
身代金の額は明らかになっていませんが、当初の要求は、「ものすごい金額」
だったようです。
結局、乗務員の命には代えられず、要求に屈したのです。
身代金の相場は100万〜200万米ドル(約9600万円〜約1億9千万円)だそうです。
英国系危機管理会社の話しでは、2000年頃多発したマラッカ海峡の海賊の約10倍、
2500万米ドル(約24億円)を要求された例や、
支払額が300万米ドル(約2億9千万円)に上った例もあるようです。
身代金の受け渡しは、空からパラシュートで船に落とすのが通例のようです。
海運関係者の話では「交渉費用なども含め、被害に遭えば10億円近く」
の金額がかかるそうです。
最近漸く日本でも、海上保安官を乗せた海上自衛隊の護衛艦2隻が、
ソマリア沖の海賊対策の任務に就きました。
しかし、他国を配慮してか、自国の船舶を重点的に援護していないようです。
アフリカ東部・ソマリア沖やアデン湾は、年間2万隻の船舶が往来しています。
この海域では、2008年に111件の海賊事件が発生しています。
シージャックされた商船などは42隻で、815人が人質になっています。
ソマリアは1991年以来、中央政府がないので、
軍や警察など、海賊を取り締まる機関がありません。
従って、現状ではソマリアの海賊を根絶することは極めて困難なのです。
国連介入で、国際社会がソマリアを再建させるには数十年はかかります。
そうであれば、国は毅然たる態度で、海賊撃退に全力を挙げなければなりません。
防衛対策としては、海賊が容易に船舶に乗り込めないような仕掛けを作ることです。
海賊船から縄梯子を掛けられないような造りにすることです。
考え付くことは沢山あります。
機関銃やロケット砲が使われた事件は計139件ありますが、
この襲撃に対しても、兵器によらない応戦対策が必要です。
海上自衛艦は、先ずは自国の関係する船舶を守る対策を講じるべきです。
それには、広範囲の海域を廻るのではなく、日本船舶が通過する海域に留まり、
効率よく対応すべきです。
他国ばかり気にしていては、まともな対応が図られず、形式的な存在に終わり、
結局、何をやっているのか判らない状況に堕ちリます。

